シンガポールにいるうちに🌴

大好きな東南アジア生活の記録

マカオのおじさまと日本語レッスン

スカイプの日本語レッスンを始めてから、ちょうど半年が経っていた。そしてまた新たに問い合わせを受け、お名前が中華系だったのでシンガポールの方かな?と思ったら、なんとマカオ在住の中国の方だった。香港の知り合いはいるがマカオの方とお話しするのは初めて。そして今読み返している沢木耕太郎の深夜特急で、マカオでの旅の様子が魅力的に描かれており、訪れたい国の一つになったところだった。先方が指定してきたレッスン日時は本当は予定が割といっぱいだったが、これを逃すと私の日本への一時帰国でレッスンが伸びてしまう。鉄は熱いうちに打った方がいいと思い、強引にレッスンを強行することにした。

日本語を勉強して10年の方で、小説も読めるし映画もラジオも問題なく聞けるという。(私も英語を同じ期間勉強しているのに、この違いは何なのだろう・・・。)ただ丁寧な日本語を話す必要がある時に緊張するため、それを改善したいのだそう。そういう場合は丁寧語がうまくできないか、話すこと自体があまり得意ではないのだろうなと思い、とりあえず少し話してレベルを測り、緊張する理由を聞くことにした。

「はじめまして、ヨイです」ヨイさんは、44歳で広東省で生まれマカオに移り住み、アメリカの大学を出てサンフランシスコに家族と暮らしているという。ただお父様のご病気の都合で、一時的にお一人でマカオに戻ってきて一緒に暮らしているらしい。子供さんも大きくなって自由な時間が増えたので、趣味として日本語の勉強を再開したいとのこと。ご自宅でIT関係のお仕事をなさっているらしい。雰囲気がとてもやわらかく品の良い金持ちという感じで、スカイプの背景にはアンティーク調の趣味の良い本棚が見え、本がたくさん並んでいる。日本語がかなり達者で少しアクセントが特異だけれど、普通に話していると日本人と間違われるんじゃないかと思う。こちらも日本人の目上の方とお話していると脳が認識し、自然と尊敬語と謙譲語が口から出てくるから不思議だ。我々は相手によって、自動的に使う日本語の種類をきちんと選んでいるのだ。

「店員さんに物を訪ねる時や、道を聞くとき、子供の友達日本人のご両親と世間話をする時などに、丁寧さをどのように表せばいいのかわからないのです」「なるほど。尊敬語や謙譲語のレベルになると、日本人(私もですが・・・)でもきちんと使えない人は多いです。知らない人と世間話をするのは、私もあまり得意ではありません(苦笑)だいたい天気の話や住んでる場所などから、共通の話題を探して話を膨らませていきますかね」

他にも日本人は直球でこられるよりも、ぐるっと回って遠回しな言い方をすると丁寧だし安心することなどを話した。例えば先方のお宅にお邪魔したい時に、いきなり日程を提示するのではなく、”もしよろしければ”とまずいい、次に”そちらにお邪魔したいと思っているのですが”と自分の意思を表し、”大丈夫でしょうか”と先方にお伺いを立てる。すると先方は話を聞きながら、『あぁ、この人はうちに来たいんだ』と分かり、最終的には日程調整に話が行くなと心づもりができる。これがいきなり”来週日曜日にそちらにお邪魔してもいいですか?”と来られると、ちょっとびっくりしてしまうし、断る余地がなく「えぇ・・・どうぞ」と言わざるを得ない雰囲気を受ける。

(マカオ料理はポルトガル料理と中華が合わさっているそうです。これはカレークラブ。シンガポールのチリクラブに似ていますね)

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Source: http://www.cathaypacific.co.jp/hongkong/macau/detail/id/348/

正直ヨイさんの日本語はレベルが非常に高いし、普通に話していて丁寧語をきちんと使えているので、何を教えればいいのか少し困ってしまった。最後に私がヨイさんを日本人と思って世間話をするので、日本人があまり親しくない間柄でどのような話題から入り、どのような種類の日本語を使うのか聞いてもらい、解説することにした。「時間がきてしまいましたね。次のレッスンはいつが空いていますか?」え?あんなレッスンでよかったのだろうか。少し拍子抜けしてしまった。私はあまり役に立てなくて、申し訳なかったなと思っていたのだが、継続的にレッスンを受けて頂けるようだ。

他の生徒さんとはレッスンを終える時は「See you soon~」とか「また来週~」とか言いながら手を振って終わるのだが、今回は「では失礼します」が自然と口から出てきたのが、脳ってすごいなぁと思った。話す相手が日本人でなくてもレベルの高い日本語を相手が話すと、それにふさわしい日本語を脳が勝手に判断し引っ張り出してくるのだ。

しかしこれで様々なレベルの生徒さんに教える機会を頂くことになった。全くの初級(シンガポール人)、初級と中級の間(メキシコ人)、中級(シンガポール人)、上級者(中国人)。やはり難しいのは上級者だと思う。今勉強している日本語教師養成講座には上級者への教え方までは載っていない。ここからは自分も正しい日本語を勉強し直したり、日本人の特性を客観的に話すことができたり、自分でも気づいていない日本や日本人というものについて深く知る必要があると改めて感じた。少し日本の本屋さんでそういったことが勉強できる本を探してみるかな。